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カンヌライオンズ2026「日本受賞作品」まとめ

この記事のまとめ

カンヌライオンズ2026における日本の受賞作を、部門ごとに整理してお届けします。以下のポイントを押さえると、全体像をつかみやすくなります。

  • 日本からのエントリーは447件で、Industry Craft・Design・Film Craftなどでゴールドを含む複数受賞が生まれました
  • Audio & Radio、Innovation、Entertainment、Entertainment Lions for Gaming、Creative Effectiveness、Young Lionsまで幅広い部門で日本勢が入賞しています
  • ニッカウヰスキーの「DEAR DIFFERENCE」、味の素の「VOICE OF FOOD」、マツダ「GOODBYE RX-7: SAYING FAREWELL TO A DEAR FRIEND」、花王「SILENT CLEANING」などが受賞リストに並びました

カンヌライオンズ2026の全体像

カンヌライオンズ2026の全体像

開催概要とエントリー数

カンヌライオンズ2026の規模を確認します。

カンヌライオンズ2026は、フランス・カンヌで2026年6月22日から26日までの5日間にわたり開かれた広告とマーケティングコミュニケーションの国際祭典です。今回で73回目を数え、31部門で20,050件のエントリーが集まりました(参照*1)。

92の国と地域から寄せられた出品のなかで、最終的に640のライオンが授与されました。日本からは447件のエントリーが行われています(参照*2)。

この数字は、日本の広告・制作現場が世界規模のクリエイティブ競争のなかで一定の存在感を保っていることを示す指標のひとつです。エントリー数と受賞数のバランスを見ることで、どの部門に日本の強みが集まっているかを読み解く手がかりになります。

日本勢の全体傾向

日本勢の受賞は、造形系を中心に幅広い部門に広がりました。

電通は、カンヌライオンズ2026でゴールド4、シルバー4、ブロンズ7の合計15ライオンを獲得したと発表しました。加えて、ニッカウヰスキーの広告キャンペーン「DEAR DIFFERENCE」がIndustry Craft部門でゴールドとブロンズ、Design部門でシルバーを受賞しています(参照*3)。

また、TBWA\HAKUHODOが手がけた「RADIO TIME MACHINE」がInnovation部門でシルバーライオンを受賞するなど、音・映像・技術を横断する作品で成果が出ています(参照*4)。

傾向としては、造形の質を競うCraft系、音の表現を軸にしたAudio & Radio、体験や仕組みを問うInnovationとEntertainmentに日本勢の受賞が集まりました。ブランド側の顔ぶれもウイスキー、食品、自動車、日用品、鉄道と幅広く、業種横断でクリエイティブが評価されたことがわかります。

Craft系部門の日本受賞作

Craft系部門の日本受賞作

Industry Craft部門「DEAR DIFFERENCE」のゴールド

Craft系では、「DEAR DIFFERENCE」がゴールドを受賞しました。

ニッカウヰスキーの広告キャンペーン「DEAR DIFFERENCE」は、Industry Craft Lionsでゴールドとブロンズ、Design Lionsでシルバーを受賞しました。手がけたのは電通で、ウイスキーブランドのグローバルでの存在感をさらに強めることに貢献したとされています(参照*3)。

Industry Craftはパッケージやポスターなど、印刷や造形の技術と表現力そのものを審査する部門です。ここでゴールドを得たという事実は、素材の選び方、書体、レイアウト、印刷技法といった細部の水準が国際的な基準に達していたことを意味します。

ウイスキーというカテゴリでは、ラベルや瓶のディテールがブランドイメージそのものに直結します。造形品質と広告表現を一体で評価する仕組みのなかで、複数部門をまたいで賞が並んだ点が、この作品の特徴といえます。

Design部門のシルバー受賞作

Design部門では、日本の作品がシルバーを複数獲得しました。

Design LionsのシルバーLionには、TIGRISの「CONDENSED IDENTITY」が選ばれました。企画・制作は博報堂、エニウェア、博報堂デザインで、プロダクションにはEDP GRAPHIC WORKS、博報堂プロダクツ、SPICE、WHITEが名を連ねています(参照*2)。

もう一件、「CRAFTMAN.SHIPS」もシルバーLionを獲得しました。こちらは博報堂グラビティと博報堂キャビンが企画・制作を担い、両社が制作会社としても参加しています(参照*2)。

Designはブランドアイデンティティやパッケージ、環境デザインなど視覚設計を審査する領域です。二つのシルバーが同じ部門に並ぶことは、日本のデザインチームが凝縮された造形表現と、職人性を軸にした物語の両面で結果を残したことを示します。

Film Craft部門「LIGHT HOLE」

Film Craft部門では、「LIGHT HOLE」がブロンズを受賞しました。

Film Craft LionsのブロンズLionには、講談社の「LIGHT HOLE」が選ばれました。企画・制作は講談社とギークピクチュアズ、プロダクションにギークピクチュアズが入っています(参照*2)。

Film Craftは、映像の演出、撮影、編集、音響、視覚効果といった制作技術そのものを評価する部門です。出版社が発注者に立ち、映像制作会社が並走する体制で銅を得た点は、コンテンツ企業のブランド映像領域での取り組みが国際的に認められた事例として位置づけられます。

Audio・Innovation部門の日本受賞作

Audio・Innovation部門の日本受賞作

Audio & Radio部門「VOICE OF FOOD」

Audio & Radio部門では、「VOICE OF FOOD」がブロンズを受賞しました。

味の素の「VOICE OF FOOD」がAudio & Radio LionsのブロンズLionに選ばれました。企画・制作は電通、プロダクションにはDADAB、IE3、KOME、TYOが参加しています(参照*2)。

この作品はClassic部門のAudio & RadioカテゴリのCorporate Purpose & Social Responsibility領域でブロンズを得たほか、Engagement部門DirectカテゴリのCultural Engagement領域でショートリストにも入りました。プロデューサーはMasao Omokawa氏、Riho Otake氏(MONSTER)です(参照*1)。

食品メーカーの企業姿勢を音で伝える設計が、社会的責任を扱う枠組みで評価された点が特徴です。音声メディアが企業のパーパスを伝える手段として、国際審査の場でも受け入れられていることを示す一例といえます。

Innovation部門「RADIO TIME MACHINE」

Innovation部門では、「RADIO TIME MACHINE」がシルバーを受賞しました。

ニチイ学館の「RADIO TIME MACHINE」がInnovation LionsのシルバーLionに選ばれました。企画・制作はTBWA\HAKUHODOで、プロダクションはAOI PROとBLACK CAT WHITE CAT MUSICが担っています(参照*2)。

また、この作品を音の面から支えたBCWCは、2026年にカンヌライオンズ公式Audio Partnerを務めました(参照*4)。

Innovationは、新しい仕組みや技術による課題解決を審査する部門です。介護・医療系の事業者が発注者としてラジオという古いメディアを再構築するアプローチで銀を得たことは、業種と技術の組み合わせに新しさの余地が残っていることを示しています。

Entertainment・Gaming部門の日本受賞作

Entertainment・Gaming部門の日本受賞作

「GOODBYE RX-7」マツダのブロンズ

Entertainment部門では、マツダの長編ドキュメンタリーがブロンズを受賞しました。

マツダのドキュメンタリー映画「GOODBYE RX-7: SAYING FAREWELL TO A DEAR FRIEND」が、カンヌライオンズ2026のEntertainmentカテゴリでブロンズLionを受賞しました。同社にとって、この祭典での初受賞となります(参照*5)。

作品は、あるマツダRX-7のおよそ25年にわたる長期所有を描き、実際の車両の使用と整備、そして所有の最終段階までを追いかけています(参照*5)。

Entertainment LionsのブロンズLionとして、企画・制作はLUCK、プロダクションもLUCKが担いました(参照*2)。

製品広告ではなく、一台の車と持ち主の年月そのものを主題に据えた点が特徴です。長期の関係性を語る映像が、Entertainment部門で通用したという事実は、ブランド映像の設計に新しい選択肢を示すものといえます。

Gaming部門「SILENT CLEANING」花王

Entertainment Lions for Gaming部門では、花王の「SILENT CLEANING」がブロンズを受賞しました。

花王とWHATEVERによる「SILENT CLEANING」は、テレビでは若年層に響かず、SNSでも広がりにくい掃除という行為を、本格的なホラーゲームに変換した企画です。プレイヤーは亡き父の別荘を磨き上げますが、その擦る音が何かを呼び寄せる仕掛けになっており、武器としてマジックリンなど実在の製品が登場します(参照*6)。

公開初日にX、Steamのフリーカテゴリで1位を獲得し、作中で扱われた製品の売上は2倍になったと報告されています(参照*6)。

生活必需品のカテゴリで、ゲームを表現形式に選び、実際の販売数値まで動かした点が要点です。若年層への到達手段としてのゲーム開発が、事業成果と結び付いた事例として参照できます。

Creative Effectiveness・Young Lionsの日本勢

Creative Effectiveness・Young Lionsの日本勢

「MY JAPAN RAILWAY」のブロンズ

Creative Effectiveness部門では、「MY JAPAN RAILWAY」がブロンズを受賞しました。

Creative Effectiveness LionsのブロンズLionには、TRAIN TRIPの「MY JAPAN RAILWAY」が選ばれました。企画・制作は電通で、プロダクションには1-10HOLDINGS、CREATIVE POWER UNIT、電通クリエーティブXなどが並んでいます(参照*2)。

Creative Effectivenessは、クリエイティブが事業成果にどのようにつながったかを評価する部門です。鉄道旅を主題にした企画がこの枠組みで銅を得たことは、体験型サービスの領域でも成果の説明責任を果たす広告設計が求められていることを示しています。

Young Lions Media部門ブロンズ

Young Lions Media部門では、日本のチームがブロンズを獲得しました。

Young Lionsコンペティション2026のMedia部門でブロンズを獲得したのは、Erina Yokota氏(TBWA\HAKUHODO、Art Director)とRiko Uesugi氏(SANRIO、Copywriter)による「HandsUp4Uncounted」です(参照*7)。

Young Lionsは、若手が短期間で課題に取り組む競技形式の部門です。異なる会社に所属するArt DirectorとCopywriterが一組で銅を得た構図は、若手世代の横断的な連携が国際的な場で成立していることを示すものです。

おわりに

カンヌライオンズ2026の日本受賞作を部門ごとに並べると、Craft系の造形品質、Audio・Innovationでの音と発想、EntertainmentとGamingでの表現形式の選択、Creative EffectivenessとYoung Lionsでの成果と若手の力という複数の軸が浮かび上がります。ウイスキー、食品、自動車、日用品、鉄道、介護と業種の幅も広く、日本のクリエイティブが特定の得意領域だけに閉じていないことがわかります。

受賞作の一覧を手元に置いておくことで、自社のブランド課題を考えるときの参照点が増えます。気になった作品はブランド名と部門名を軸にたどると、企画意図と制作体制まで確認しやすくなります。

お知らせ

カンヌライオンズ2026の日本受賞作が示す想いを、インナー・コピーライティングで言語化し、広告や広報、ネーミングと結びつけて企業と社会の新たなつながりに昇華します。

株式会社ユー&ミーは、経営者・起業家・担当者が持つ想いの言語化「インナー・コピーライティング」を通じて、社会との新しいつながりを生みだします。事業会社からベンチャー企業・スタートアップまで、BtoCからBtoBまで、幅広い企業やサービスのコミュニケーション開発に携わってきました。

コピーライティングを軸として、広告・広報・PR・ネーミング開発・書籍プロデュースなどの手段を組み合わせたコミュニケーション戦略の策定を得意としています。コピーライティングに関する業務に加えて、講演や研修、メディア取材の問い合わせも、お気軽にご連絡ください。

監修者

梅田悟司(うめださとし)

コピーライター/ワークワンダース株式会社 取締役CPO
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員教授
博士(学術)東京科学大学 環境・社会理工学院 博士後期課程修了

1979年生まれ。電通、ベンチャーキャピタルでのスタートアップ支援を経て現職。企業の根幹となるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定、コーポレート・メッセージ構築の第一人者として、経営層の思考の言語化を得意とする。

ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション統括などを担当。核融合スタートアップ「Helical Fusion」をはじめ、次世代スタートアップ企業のブランド戦略の立案に従事する。

武蔵野大学では、日本初となるアントレプレナーシップ学部の立ち上げにおいて、教員としても着任する傍ら、コピーライティングを中心としたコミュニケーション・ブランディングに携わっている。

CM総合研究所が選ぶコピーライターラインキング・トップ10に5年連続選出。カンヌ広告賞、レッドドット賞、ギャラクシー賞、グッドデザイン賞、観光庁長官表彰など国内外30以上の賞を受ける。

著書に、シリーズ累計35万部を超える『「言葉にできる」は武器になる。』『きみの人生に作戦名を。』(日本経済新聞出版社)などがある。4ヶ月半におよぶ育児休暇を取得し、その経験を踏まえた『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(サンマーク出版)を執筆。100を超えるメディアで取り上げられ、大きな話題となる。

参照

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