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Clio Awards 2025受賞作品まとめ|世界の広告クリエイティブ事例と受賞傾向

Clio Awards 2025受賞作品まとめ|世界の広告クリエイティブ事例と受賞傾向

はじめに

Clio Awardsは、The One ShowやCannes Lionsと並ぶ世界3大広告賞のひとつとして、広告クリエイティブの水準を示す指標となってきました。2025年の授賞式では過去最多となる39のGrand Clioが14か国の作品に贈られ、世界の広告表現がどこへ向かっているのかを読み解く手がかりが豊富にそろいました。

受賞作の傾向を押さえずにいると、広告コミュニケーションの設計で国際的な評価軸とのずれが生じかねません。本記事では、Clio Awards 2025の概要から主要受賞作、部門別の注目事例、受賞傾向、そして他の国際広告賞との比較までを順に紹介します。

Clio Awards 2025の概要

Clio Awards 2025の概要

第66回授賞式の基本情報

Clio Awards 2025の授賞式は2025年5月13日にニューヨークで開催されました。司会を務めたのは俳優・コメディアンで、テレビ番組「The Traitors」でも知られるAlan Cummingです。会場にはCiprianiが選ばれ、世界各国から集まったクリエイターやブランド関係者が一堂に会しました(参照*1)。

過去最多の39のGrand Clioが14か国の作品に授与された点が、大きな話題となりました。受賞作はスペイン、日本、ニュージーランド、ブラジル、イタリア、オランダ、フランス、韓国、ドイツ、イギリス、インド、中国、カナダ、アメリカにまたがり、文化的にも創造的にも画期的と評価された作品が選ばれました(参照*1)。授賞数と国の多様さの両面から、広告クリエイティブの競争がますますグローバルに広がっていることが見て取れます。

審査基準とOf the Year制度

Clio Awardsの審査プロセスは「diplomatic approach(調和的なアプローチ)」を特徴としています。すべての審査員が対等な発言権を持ち、多数決で受賞が決まります。審査基準は原則として「クリエイティビティ」に統一されていますが、Creative Effectiveness、Creative Business Transformation Medium、Creative Strategyの3部門のみ例外として独自の基準が適用されます(参照*2)。

「Of the Year」制度は、提出作品に付与される彫像ポイントを最も多く獲得したネットワークなどに贈られる年間表彰です。ポイントを獲得するには、自ら作品をエントリーするか、他のエントリー者が提出した受賞作品のクレジットに名前が記載されている必要があります(参照*3)。この仕組みにより、単発のヒットではなく年間を通じた創造力の総合力が評価されます。

Grand Clio主要受賞作

Grand Clio主要受賞作

Spotify「Spreadbeats」の4冠達成

Clio Awards 2025で最も多くのGrand Clioを獲得した作品のひとつが、FCB New YorkによるSpotifyの「Spreadbeats」です。この作品はBusiness To Business広告タイプにおいて、Creative Use of Data、Design、Design Craft、Directの4部門でGrand Clioを受賞しました(参照*1)。

4冠という結果は、データの創造的な活用からデザインの仕上がり、ダイレクトな訴求力まで、複数の評価軸で同時に高い水準を満たしたことを示しています。B2B領域であってもクリエイティブの質が求められる時代を象徴する事例といえます。

JCDecaux「Meet Marina Prieto」の4冠達成

JCDecauxの「Meet Marina Prieto」も、4つのGrand Clioを獲得しました。DAVID Madridが手がけたこの作品は、Use of Influencers – Creators、Creative Strategy、Creative Effectiveness – Local/Regional、Out of Home – Interactive/Experientialの4部門でGrand Clioを受賞しています(参照*4)。

無名のおばあちゃんの日常的なSNS投稿を地下鉄駅に掲出し、結果的にバイラル現象を生んだ点が特徴です(参照*4)。著名人ではなく一般人の日常をコンテンツに転換するという発想が、インフルエンサー活用と屋外広告の両部門で高く評価されました。

その他のProduct/Service部門注目作

2025年のGrand Clioには、体験設計や技術革新を軸にした作品も選ばれています。McCann Londonが手がけたXBOXの「The Everyday Tactician」はExperience/Activation部門でGrand Clioを獲得しました。また、Colenso BBDOによるPEDIGREEの「Adoptable. By PEDIGREE.」はInnovation部門で受賞し、2部門にわたる受賞作となっています(参照*1)。

体験型の施策やテクノロジーを活かした革新的なアイデアが部門を超えて評価されている点は、広告コミュニケーションの設計において、受け手の行動や体験そのものまで視野に入れた発想が求められていることを示唆しています。

映像・デジタル・エンタメ領域の注目作

映像・デジタル・エンタメ領域の注目作

Film・Film Craft部門の受賞作

Film部門のGrand Clioは、Ogilvy PRが手がけたCeraVeの「Michael CeraVe」に贈られました。この作品は2部門での受賞を果たしています。Film Craft部門ではOgilvy ShanghaiによるViatrisの「Make Love Last」がGrand Clioを獲得しました(参照*1)。

Film部門ではブランドとカルチャーの接点を巧みに設計した映像表現が、Film Craft部門では映像としての完成度そのものが評価されています。映像領域においても、企画の着眼点と制作技術の両方が問われる構図が浮かび上がります。

Clio Entertainment・Sports・Music部門

Clio Entertainment部門では、FCB Chicagoが制作したRakish Entertainmentの「Caption With Intention」が3つのGrand Clioを獲得しました。この作品は聴覚障害のある視聴者が字幕を追う体験を刷新するもので、字幕のタイミングを話し言葉に同期させ、感情やトーン、話者の識別まで反映する仕組みを実現しています。授賞式はハリウッドのDolby TheatreでRachel Bloomが司会を務め、Clio Entertainment全体では28のGrand Clioが授与されました(参照*5)。

Clio Sports部門では、CourageによるKFC Canadaの「Kyle F*cking Connor」が3つのGrand Clioを獲得し、同部門全体では12のGrandが9つの異なるエントリー者に授与されました(参照*6)。Clio Music部門では、TBWA HAKUHODOが企画・制作した日本マクドナルドの「No Smiles」がグランプリと金賞を受賞しています。「スマイル0円」というブランド資産を斬新なアプローチで再解釈したキャンペーンとして評価されました(参照*7)。

AI Specialty Award と日本発の受賞事例

Clio Awards 2025では、Jools Lebronに「2025 Clio Breakthrough Award」が贈られました。Verizonがプレゼンターを務めたこの賞は、クリエイティビティとソーシャルメディアの影響力を通じて消費者行動を変えた功績を称えるものです。彼女が広めた「demure」という言葉はDictionary.comの2024年Word of the Yearに選出され、Verizon、e.l.f. Cosmetics、Taco Bell、Lenovoといったブランドとの提携にもつながりました(参照*1)。

日本発の受賞事例としては、前述の「No Smiles」に加え、Clio Awards 2025で2部門のグランプリを獲得した「#2531佐藤さん問題」が挙げられます。この作品はCannes Lions 2025で2部門のゴールド、The One Show 2025で3部門のゴールドペンシル、New York Festivals Advertising Awards 2025では最高賞のBest of Showと3部門のグランプリも獲得しており、NGOや大学教授、企業各社とともに日本全体へのアクションを起こした点が国内外で評価されています(参照*8)。複数の国際広告賞で同時に高い評価を受けた実績は、日本のクリエイティブが世界水準で通用していることの裏付けとなっています。

受賞傾向と評価のポイント

受賞傾向と評価のポイント

14か国にまたがるGrand分布

Clio Awards 2025では、過去最多となる39のGrand Clioがアメリカ、スペイン、日本、ニュージーランド、ブラジル、イタリア、オランダ、フランス、韓国、ドイツ、イギリス、インド、中国、カナダの14か国の作品に授与されました(参照*9)。

OgilvyはNetwork of the Yearに3年連続で選ばれています。2025年の授賞式では同ネットワークから9作品がGrand Clioを獲得し、さらにGold 23、Silver 36、Bronze 46、Shortlist 37という受賞実績を積み上げました(参照*4)。地域を横断した作品の質と量がネットワーク全体の評価に直結する構造が、Of the Year制度によって可視化されています。

インフルエンサー活用とOOHの台頭

2025年の受賞傾向で際立っているのが、インフルエンサー活用と屋外広告(OOH)の交差です。JCDecauxの「Meet Marina Prieto」はUse of Influencers – CreatorsとOut of Home – Interactive/Experientialの両部門でGrand Clioを獲得し、著名人ではない一般人のSNS投稿を地下鉄に掲出するというアプローチで屋外メディアの体験価値を拡張しました(参照*4)。

個人の影響力を評価する流れは、Jools Lebronへの2025 Clio Breakthrough Awardにも表れています。彼女はクリエイティビティとソーシャルの影響力で消費者行動を動かした点が認められ、「demure」という言葉を通じて文化的なムーブメントを生み出しました(参照*1)。ブランドが発信するメッセージだけでなく、個人が生みだす文化の動きをいかにクリエイティブに取り込むかが、評価の軸として明確になりつつあります。

他の国際広告賞との比較

他の国際広告賞との比較

D&AD 2025との共通受賞作と差異

Clio Awards 2025とD&AD 2025の両方で高い評価を受けた作品として、FCB New YorkによるSpotifyの「Spreadbeats」が挙げられます。D&AD 2025ではBlack Pencilという最高賞が3作品に授与されており、そのうちの1つが「Spreadbeats」でした。D&ADではFCB New YorkがAdvertising Agency of the Year、FCBがNetwork of the Yearにも選ばれています(参照*10)。

審査の姿勢には違いも見られます。D&AD 2025の審査員は、アイデアそのものよりもビジネス上の成果や消費者行動の変化に結びつく商業的な実現性を重視する傾向を打ち出しました。加えて、ラジオ・オーディオからフィルムまで全部門にわたって卓越した職人技を求める「クラフトマンシップの復権」が際立った特徴として報告されています(参照*10)。一方、Clio Awardsの審査基準は原則として「クリエイティビティ」に統一されており、評価の力点が異なることがわかります。

Cannes Lions・One Showとの位置関係

Clio Awardsは、The One ShowおよびCannes Lions International Festival of Creativityと並ぶ世界3大広告賞のひとつとして位置づけられています(参照*7)。この3つの賞は開催時期や審査の枠組みに違いがあるものの、同じ作品が複数の賞で評価されるケースも少なくありません。

「#2531佐藤さん問題」はClio Awards 2025で2部門のグランプリを獲得したほか、Cannes Lions 2025で2部門のゴールド、The One Show 2025で3部門のゴールドペンシルを受賞しています(参照*8)。複数の国際広告賞にまたがって評価される作品を追うことで、各賞の審査視点の共通部分と独自の力点を読み比べることができます。

おわりに

Clio Awards 2025は、14か国39のGrand Clioという過去最多の結果を通じて、広告クリエイティブの多様性と競争の広がりを鮮やかに映し出しました。インフルエンサー活用や屋外広告の新しい体験設計、日本発の作品が複数の国際賞で同時に評価された事実は、「内から外へ」というメッセージの届け方を考えるうえでの実践的なヒントを含んでいます。

2026年のClio Awardsでは、こうした傾向がさらに加速するのか、あるいは新しい評価軸が登場するのかに注目が集まります。受賞作の分析を自社のコミュニケーション設計に活かすためにも、各部門の評価ポイントを追うことで整理しやすくなります。

お知らせ

Clio Awards 2025の動向は、受賞作が示す表現やストーリーテリングの潮流を読み解く好機であり、企業や起業家の想いを言語化するインナー・コピーライティングが新しい社会とのつながりを築くヒントになります。
株式会社ユー&ミーは、経営者・起業家・担当者が持つ想いの言語化「インナー・コピーライティング」を通じて、社会との新しいつながりを生みだします。事業会社からベンチャー企業・スタートアップまで、BtoCからBtoBまで、幅広い企業やサービスのコミュニケーション開発に携わってきました。

コピーライティングを軸として、広告・広報・PR・ネーミング開発・書籍プロデュースなどの手段を組み合わせたコミュニケーション戦略の策定を得意としています。コピーライティングに関する業務に加えて、講演や研修、メディア取材の問い合わせも、お気軽にご連絡ください。

監修者

梅田悟司(うめださとし)

コピーライター/ワークワンダース株式会社 取締役CPO
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員教授
博士(学術)東京科学大学 環境・社会理工学院 博士後期課程修了

1979年生まれ。電通、ベンチャーキャピタルでのスタートアップ支援を経て現職。企業の根幹となるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定、コーポレート・メッセージ構築の第一人者として、経営層の思考の言語化を得意とする。

ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション統括などを担当。核融合スタートアップ「Helical Fusion」をはじめ、次世代スタートアップ企業のブランド戦略の立案に従事する。

武蔵野大学では、日本初となるアントレプレナーシップ学部の立ち上げにおいて、教員としても着任する傍ら、コピーライティングを中心としたコミュニケーション・ブランディングに携わっている。

CM総合研究所が選ぶコピーライターラインキング・トップ10に5年連続選出。カンヌ広告賞、レッドドット賞、ギャラクシー賞、グッドデザイン賞、観光庁長官表彰など国内外30以上の賞を受ける。

著書に、シリーズ累計35万部を超える『「言葉にできる」は武器になる。』『きみの人生に作戦名を。』(日本経済新聞出版社)などがある。4ヶ月半におよぶ育児休暇を取得し、その経験を踏まえた『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(サンマーク出版)を執筆。100を超えるメディアで取り上げられ、大きな話題となる。

参照

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