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広告制作の進め方を初心者向けに解説:フロー・役割分担を分解する

広告制作の進め方を初心者向けに解説:フロー・役割分担を分解する

はじめに

広告制作は、何から手をつければよいか分からなくなりやすい業務です。そうした担当者にとって、進め方の全体像をつかむことは最初の大きな壁です。全体フローや役割分担があいまいなまま走り出すと、修正の繰り返しやスケジュール超過を招き、最終的に成果につながらない広告が出来上がるおそれがあります。

ポイントは、工程ごとの目的と判断基準をあらかじめ言葉にしておくことです。本文では、広告制作の進め方を7つの工程に分解し、ブリーフの書き方から入稿規定、法令遵守まで順を追って説明します。

広告制作の全体フロー

広告制作の全体フロー

7ステップで見る制作工程

広告制作の進め方を把握するうえで、まず全体を工程単位に分けて見ることが有効です。映像広告を例にすると、標準的な制作工程は「ヒアリング・要件定義(目的・ターゲット・配信媒体の確認)」「企画・構成案の作成」「シナリオ・絵コンテの作成」「撮影準備(キャスティング・ロケハン・機材手配)」「撮影」「編集・MA(整音・音声調整)」「納品・検収」の7段階に整理できます(参照*1)。

納品後の運用と振り返りまでを含めて、「企画→試作(プロト)→修正→本番→納品→運用→レポート」という流れで、1つのサイクルとしてとらえる考え方もあります(参照*2)。工程の粒度は案件規模によって異なりますが、どちらにも共通するのは「最初に目的とゴールを定め、段階ごとに合意を取りながら進む」という構造です。広告制作の進め方を設計する際は、自社の案件にあてはめてどの工程が必要かを洗い出すところから始めると、抜け漏れを防げます。

工程別の所要期間と短縮のコツ

広告制作の進め方を計画するとき、各工程にどの程度の日数がかかるかを見積もっておく必要があります。一般的に時間を要するのは、要件定義と企画の上流工程です。目的やターゲット、配信媒体の確認が曖昧なまま依頼すると、制作側も「何を作ればよいか」が分からず、的外れな提案が出てくる可能性が高まります(参照*1)。

所要期間を圧縮するには、上流の情報整理に時間を投じて手戻りを減らすことが近道です。ヒアリング段階で目的・KPI・ターゲットを文書化しておけば、企画以降の工程で判断の軸がぶれにくくなります。撮影や編集のような下流工程は技術的な制約があるため大幅な短縮が難しい一方、上流の精度を上げることで修正回数そのものを減らせます。

ブリーフ作成の実務

ブリーフ作成の実務

デザインブリーフに含める項目

デザインブリーフとは、プロジェクトの目的や実施方法、最終的な目標などデザイン作業を進めるうえで必要な情報をまとめた文書です。予算やスケジュール、制作物に期待する成果などを含んでおり、デザイナーやクライアントで共有することで、プロジェクトの詳細についてのズレを小さくできます(参照*3)。

具体的には、プロジェクトの詳細内容、成果物、予算、タイムライン、対応範囲を盛り込みます。これらを記載しておくことで、関係者全員が同じ認識を持って制作に取り掛かれます(参照*4)。さらに、デザインブリーフを土台にして「クリエイティブブリーフ」へ発展させる方法もあります。クリエイティブブリーフは、デザインが対象となる受け手にどう語りかけるか、含めたい要素は何か、表現上の意思決定を支える理由は何かを深掘りするものです。広告制作の進め方において、2段階のブリーフを使い分けると、戦略と表現の接続がより明確になります。

目的・ターゲット・KPIの言語化

ブリーフに落とし込む中核は「目的」「ターゲット」「KPI」の3つです。目的は一言で表現するのが望ましく、たとえば「新商品の認知を3週間で広げたい」「ECのCVRを+20%にしたい」といった形で書きます。KPIは再生完了率、クリック率、CVRなど、運用段階で検証できる指標を数字で設定します。ターゲット像は、年齢・性別・地域・関心・よく使うSNS・日常の悩みといった要素で描写し、訴求の優先度は上から3つ程度に絞ります(参照*2)。

動画の目的(認知拡大・購入促進・採用強化など)、ターゲット(年齢・性別・職業・課題)、配信媒体(YouTube・Instagram・TikTok・自社サイトなど)、KPI(視聴回数・クリック率・コンバージョン数など)を事前にそろえておくことが欠かせません。これらが曖昧なまま依頼すると、制作側が方向性を見失い、提案の精度が下がります(参照*1)。目的・ターゲット・KPIの言語化は、広告制作の進め方全体を左右する起点になります。

役割分担と進行管理

役割分担と進行管理

社内外の関係者と担当範囲

広告制作の進め方を安定させるには、「誰が何を担当し、誰が承認するか」を事前に決めておくことが欠かせません。広告クリエイティブの制作工程では、外部パートナーを含む複数の関係者との間で、構成案の作成・共有、デザイナーへの指示、初稿の提出と修正依頼、社内承認・クライアント承認、広告配信への入稿といったやり取りが発生します(参照*5)。

こうした工程で起きやすい問題は3つに集約されます。案件やクライアントごとの管理コストとやり取りの煩雑さ、修正指示が曖昧で意図が伝わりにくいこと、そして誰が何をチェックしているのか分からないことです(参照*6)。担当範囲を一覧にして関係者へ共有するだけでも、こうした問題の発生頻度を下げられます。

承認フローと進行管理ツール

広告制作の承認プロセスはメールやチャット、各種フォルダなどに分散しやすく、情報共有やバージョン管理が煩雑になりがちです(参照*7)。実際の現場でも、エクセルやスプレッドシートのサイトマップと実際のURLを何度も往復してどれが最新版か分からなくなる、100ページを超える大規模案件でどのページが承認済みか把握できない、メールの指摘内容が曖昧で意図しない修正や差し戻しが生じる、といった課題が報告されています(参照*8)。

こうした問題に対して、進行管理ツールを導入すると進捗やスケジュール、各案件の状態を同一の画面で一元管理できます。エクセルやチャットツールを併用したり業務ごとに複数のツールを使い分けたりする必要がなくなり、情報が集約されるため転記作業も不要になります(参照*9)。広告制作の進め方を設計する段階で、承認ステップと使用するツールをセットで定義しておくと、途中での混乱を防ぎやすくなります。

入稿規定とクリエイティブ仕様

入稿規定とクリエイティブ仕様

主要媒体のサイズ・形式一覧

広告制作の進め方において、入稿する媒体ごとの仕様を事前に確認しておくことは必須です。仕様を知らないまま制作を進めると、完成後にリサイズや作り直しが生じ、スケジュールに大きな影響を与えます。

Google広告(GDN)の場合、主なバナーサイズは300×250、336×280、728×90、160×600、320×50です。レスポンシブ広告では横長が1200×628px、正方形が1200×1200px、縦長が1200×1500px(4:5)となっています。最大容量はレスポンシブディスプレイ広告で5,120KB(5MB)、イメージバナー広告で150KBです(参照*10)。P-MAXキャンペーンの画像推奨要件では、正方形(1:1)は1,200×1,200ピクセル以上で4〜20枚、横長(1.91:1)は1,200×628ピクセル以上で4〜20枚、縦長(4:5)は960×1,200ピクセルで2〜20枚と定められており、ファイル形式はPNGまたはJPGです(参照*11)。媒体の仕様は更新されることがあるため、入稿前には最新の公式ガイドラインを確認すると安心です。

入稿前チェックリスト

入稿前の段階で確認すべき項目は、大きくわけて「画像・動画の仕様」「テキスト情報」「承認状況」の3つです。画像については、前節で触れたサイズ・容量・ファイル形式が媒体の規定を満たしているかを確認します。テキスト情報は、見出しや説明文の文字数上限、使用できる記号の種類といった条件を媒体ごとに照合します。

承認状況については、社内承認・クライアント承認がすべて完了した最終版であるかの確認が欠かせません。広告クリエイティブの制作工程では、構成案の共有からデザイナーへの指示、初稿の修正依頼、承認、入稿まで複数のやり取りが発生するため、どのバージョンが最終稿なのかを明確にしてから入稿する必要があります(参照*5)。広告制作の進め方としては、チェック項目を一覧にまとめ、担当者が1つずつ確認してから入稿作業に移る流れを定着させるのが有効です。

法令遵守と広告審査の注意点

法令遵守と広告審査の注意点

景品表示法の基本と違反事例

広告制作の進め方を検討するうえで、法令遵守は避けて通れないテーマです。広告・販促物には景品表示法(景表法)をはじめとする各種規制への対応が求められ、企業のコンプライアンスやブランドへの信頼を守るうえで大きな役割を担っています。広告表示をめぐって行政から措置命令や課徴金納付命令が出される事例は近年も続いており、広告表現に対する社会的な監視は一段と厳しくなっています(参照*12)。

不当な表示をしないためには、一般消費者の立場に立ち、表示全体から消費者がどのような印象や認識を持つかを考え、実際の商品・サービスの内容と比べて誤解されないようにすることが基本とされています(参照*13)。また、2024年10月の改正景品表示法により、優良誤認表示や有利誤認表示を行った場合は100万円以下の罰金が科されることになりました。措置命令に違反した場合には2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます(参照*14)。

審査落ちを防ぐ表現チェック

広告を配信する際、各媒体の審査を通過しなければ掲載できません。審査落ちの原因として多いのが、表現上のルールに抵触するケースです。「絶対に」「必ず」「100%」「必ず儲かる」といった断定的な表現や、「一番」「唯一」「世界初」「No.1」といった最上級表現は、原則として使用できません。これらの表現には合理的な根拠が必要とされているためです(参照*15)。

広告制作の進め方に表現チェックの工程を組み込んでおくと、入稿後の差し戻しを減らせます。具体的には、コピーやキャッチフレーズの草案段階で、断定表現・最上級表現・誇大表現が含まれていないかを確認する手順を設けることが実務上の対策です。特に根拠のない数値表現や比較表現は、景品表示法の観点だけでなく媒体審査の観点でも問題になりやすいため、社内チェックとあわせて確認の精度を高めておく必要があります。

おわりに

広告制作の進め方は、目的の言語化から始まり、ブリーフ作成、役割分担、入稿規定の確認、法令遵守まで多岐にわたります。どの工程でも共通するのは「判断基準を事前に言葉にしておく」という姿勢です。

進め方を仕組みとして整えておけば、担当者が変わっても品質を維持しやすくなります。まずは自社の案件に照らして、どの工程で情報が曖昧になりやすいかを特定するところから始めるとよいでしょう。

お知らせ

広告制作の進め方を軸に、インナー・コピーライティングで想いを言語化して企業と社会の新しいつながりをつくる道筋を共に描きます。
株式会社ユー&ミーは、経営者・起業家・担当者が持つ想いの言語化「インナー・コピーライティング」を通じて、社会との新しいつながりを生みだします。事業会社からベンチャー企業・スタートアップまで、BtoCからBtoBまで、幅広い企業やサービスのコミュニケーション開発に携わってきました。

コピーライティングを軸として、広告・広報・PR・ネーミング開発・書籍プロデュースなどの手段を組み合わせたコミュニケーション戦略の策定を得意としています。コピーライティングに関する業務に加えて、講演や研修、メディア取材の問い合わせも、お気軽にご連絡ください。

監修者

梅田悟司(うめださとし)

コピーライター/ワークワンダース株式会社 取締役CPO
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員教授
博士(学術)東京科学大学 環境・社会理工学院 博士後期課程修了

1979年生まれ。電通、ベンチャーキャピタルでのスタートアップ支援を経て現職。企業の根幹となるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定、コーポレート・メッセージ構築の第一人者として、経営層の思考の言語化を得意とする。

ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション統括などを担当。核融合スタートアップ「Helical Fusion」をはじめ、次世代スタートアップ企業のブランド戦略の立案に従事する。

武蔵野大学では、日本初となるアントレプレナーシップ学部の立ち上げにおいて、教員としても着任する傍ら、コピーライティングを中心としたコミュニケーション・ブランディングに携わっている。

CM総合研究所が選ぶコピーライターラインキング・トップ10に5年連続選出。カンヌ広告賞、レッドドット賞、ギャラクシー賞、グッドデザイン賞、観光庁長官表彰など国内外30以上の賞を受ける。

著書に、シリーズ累計35万部を超える『「言葉にできる」は武器になる。』『きみの人生に作戦名を。』(日本経済新聞出版社)などがある。4ヶ月半におよぶ育児休暇を取得し、その経験を踏まえた『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(サンマーク出版)を執筆。100を超えるメディアで取り上げられ、大きな話題となる。

参照

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