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広告賞の種類とは?国内・海外の主要広告賞をカテゴリ別に解説

広告賞の種類とは?国内・海外の主要広告賞をカテゴリ別に解説

はじめに

広告賞は、広告やクリエイティブの品質を外部の専門家が評価し、優れた作品を世に広く知らしめる仕組みです。しかし、広告賞の種類は国内外に数多く存在し、審査の軸も「創造性」「効果」「デザイン」など賞ごとに異なります。自社に合った賞を選べないと、応募の労力が成果につながりにくくなります。

広告賞は大きく「総合」「デザイン・クラフト」「効果」「デジタル・エンタメ」などのカテゴリに分かれており、目的に応じた選び方があります。本記事では、各カテゴリの代表的な賞とその審査の特徴を順に取り上げます。

広告賞の定義と役割

広告賞の定義と役割

広告賞が果たす社会的機能

広告賞には、優れた広告活動を社会に示し、業界全体の水準を引き上げる機能があります。広告電通賞は1947年12月に創設された日本で最も歴史ある総合広告賞であり、優れた広告コミュニケーションを実践した広告主を顕彰することで広告主の課題解決の道を広げ、日本の産業・経済・文化の発展に貢献することを目指しています(参照*1)。

海外でも同様の考え方が見られます。Effie Awardsは「効果を生んだマーケティングこそ称えられるべきだ」という理念のもと、世界規模でマーケティングの効果基準を定めています(参照*2)。こうした賞は、作品の良し悪しを決めるだけでなく、「広告は何のためにあるのか」という問いを業界に投げかける役割を担っています。

審査軸による分類の考え方

広告賞の種類を理解するうえで手がかりになるのが、各賞が何を審査の軸に据えているかという点です。賞によって「創造性」「ビジネス成果」「デザインの卓越性」「戦略の緻密さ」など重視する観点が異なり、それが広告賞の分類に直結します。

D&AD Awardsでは、創造性だけでは評価が完結しない方向に審査が変化しています。商業的なインパクト、行動変容、戦略的思考が重視され、見た目の印象だけでなく測定可能な成果や社会的な意味をもたらした作品が高く評価されました(参照*3)。このように審査軸は固定されたものではなく、時代とともに更新されるため、応募先を選ぶ際には最新の評価基準を確認することが欠かせません。

総合広告賞の代表例

総合広告賞の代表例

Cannes Lionsの部門構成と規模

Cannes Lions(カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル)は1954年に創設された、世界最大級の広告・クリエイティブの祭典です。広告・マーケティング、エンターテインメント、メディア、テクノロジーの各分野にまたがる数々のアワードが設けられており、幅広い種類の広告活動を一つの場で評価できる総合性が特徴です(参照*4)。

2025年のアワードには世界各国から合計26,900件のエントリーが寄せられました。すべての作品が、その年のクリエイティビティと効果の世界基準を定める審査に臨みます(参照*5)。規模の大きさは、この賞が国や業種を超えた共通指標として機能していることを示しています。

広告電通賞の7部門26カテゴリー

広告電通賞は、日本を代表する総合広告賞で、各賞の名称と内容は7部門・26カテゴリーで構成されています。選考は、全国の広告主・媒体社・クリエイター・有識者ら約500名から構成される広告電通賞審議会の選考委員によって行われます。これほど多くの選考委員を組織し、幅広い領域を網羅している賞は少ないとされています(参照*1)。

運営は公的機関である広告電通賞審議会が担い、取り扱い広告会社や制作会社にかかわらず、すべての広告主に応募資格があります。広告主側を顕彰する仕組みは、制作者だけでなく「伝えたい想いを持つ企業」にも光を当てる設計になっています。

デザイン・クラフト系広告賞

デザイン・クラフト系広告賞

D&AD Awardsの賞レベルと審査基準

D&AD Awardsは、イギリス・ロンドンに拠点を置く非営利団体D&ADが運営する国際的なアワードで、デザインと広告の卓越性を讃える賞として広く知られています。第63回を迎えた2025年には、史上最多の86カ国から11,689点のエントリーが集まり、世界各国から集まった330名のデザイナーやクリエイターによる厳正な審査が行われました(参照*6)。

賞のレベルはShortlistのほか、Wood Pencil、Graphite Pencil、Yellow Pencil、White Pencil、Black Pencilなどに分かれています。Entry Kitでは、Woodはその年の広告・デザイン・クラフト・文化・インパクト分野のベスト、Graphiteは際立った作品、Yellow Pencilは真の創造的卓越性を達成した傑出作品、Black Pencilは革新的な作品に限られ、年間でも授与されない場合があるとされています(参照*7)。

2025年には3作品がBlack Pencilを獲得しました。グラフィックデザイン部門ではW Conran Designによるパリ2024のデザイン、ミュージックビデオ部門ではIconoclast LAによるA$AP Rockyの作品、デジタルマーケティング部門ではFCB New YorkによるSpreadbeatsがそれぞれ選ばれています(参照*3)。部門の幅広さと賞レベルの厳格さが、この広告賞の特色です。

Cannes Lions Design・Craft Track

Cannes Lionsにも、デザインやクラフトの技術力を重点的に評価する部門が設けられています。2025年のDesign Lionsでは1,087件のエントリーが審査対象となり、Gold 5、Silver 11、Bronze 16の計33のライオンが授与されました。グランプリはFCB ChicagoによるClosed Captioning向け作品「Caption with Intention」が受賞しています。

Film Craft Lionsでは1,459件のエントリーから計49のライオンが贈られ、Gold 9、Silver 12、Bronze 27という結果でした。グランプリは、シドニーのBear Meets Eagle On Fireが制作したTelstra向け作品「Better on a Better Network」に授与されています(参照*8)。エントリー数の多さは、デザインと映像技術の領域に対する世界的な関心の高さを裏付けています。

効果系広告賞

効果系広告賞

Effie Awardsの審査配点と特徴

Effie Awardsは、広告やマーケティングの「効果」を審査の中心に据えた広告賞です。審査はラウンド制で行われ、各ラウンドで共通の配点基準が適用されます。具体的には、Challenge, Context & Objectivesが23.3%、Insights & Strategyが23.3%、Bringing the Strategy & Idea to Lifeが23.3%、Resultsが30%という配分です。審査員のスコアにより、ファイナリストの選出とGold・Silver・Bronzeの各トロフィーの授与が決まります(参照*9)。

Resultsの配点が30%と最も高い点に、この賞の性格が端的に表れています。創造性や戦略の巧みさだけでなく、それが実際にどのような成果を生んだかが最終的な評価を左右する構造です。オーストラリアのEffie Awardsでは2025年に111組のファイナリストが発表され、33の代理店と47のクライアントが名を連ねました。26のカテゴリを70名のシニアマーケター・コンサルタント・リサーチャーが審査しています(参照*10)。

Cannes Lions Creative Effectiveness

Cannes Lionsにも、効果を軸に据えたStrategy Trackが存在します。このトラックにはCreative Strategy LionsとCreative Effectiveness Lionsが含まれ、2025年のエントリー数は前年比10%増を記録しました。5年連続の成長であり、明確なビジネス成果を生む戦略への関心が高まっていることを示しています(参照*5)。

2025年のCreative Effectiveness部門ではTBWA\MEDIA ARTS LAB(ロサンゼルス)がAppleの「SHOT ON IPHONE」キャンペーンで受賞しています(参照*11)。総合広告賞の中に効果部門を設けることで、クリエイティブ評価と効果実証を同じフェスティバル内で比較できる構造になっています。

デジタル・エンタメ系広告賞

デジタル・エンタメ系広告賞

D&AD Digital Marketing部門の細分化

D&AD AwardsのDigital Marketing部門は、デジタル広告の種類の多様化を反映して細かくカテゴリが分かれています。2026年のEntry Kitによると、Integrated、User Participation、Mobile、Physical & Digital、Storytelling、Use of Data、Promotional Websites、Search & Display、Tactical、Social、Use of Creators、Use of Talent、Use of AI & Technologyの13カテゴリが設定されています(参照*7)。

Use of AI & TechnologyやUse of Creatorsなど、近年のデジタル領域で存在感を増している手法が独立したカテゴリとして設けられている点が特徴です。応募者は自社の施策に最も近いカテゴリを選ぶことで、適切な土俵で評価を受けられます。

Entertainment Lions各部門の特色

Cannes Lionsにはエンターテインメント領域に特化した複数の部門があり、2025年の結果がその規模を物語っています。Entertainment Lions for Gamingでは327件のエントリーから計11のライオンが授与され、グランプリはGUT(サンパウロ)がMercado Livre向けに制作した「Call of Discounts」でした。Entertainment Lions for Musicでは469件から16のライオンが贈られ、グランプリはDDB Latina(プエルトリコ)によるRimas Music向けの「Tracking Bad Bunny」が獲得しています。Entertainment Lions for Sportでは766件から26のライオンが授与されました(参照*8)。

さらに、Social & Creator Lionsでは、クリエイターが主導するコンテンツの影響力の拡大を反映して新設されたサブカテゴリに全エントリーの18%が集中しました。独立系代理店からのエントリーも前年比18%増となっており、規模を問わず革新的なアイデアが評価される場として機能しています(参照*5)。

目的別・地域別の賞の選び方

目的別・地域別の賞の選び方

クリエイティブ評価か効果実証か

広告賞を選ぶ際の最初の分岐点は、「クリエイティブの質を外部に示したいのか」「ビジネス成果の実証を得たいのか」という目的の違いです。D&AD AwardsやCannes Lions Design Lionsのように創造性と技術を重視する賞は、制作力を対外的に証明したい場合に適しています。一方、Effie Awardsのように結果の配点が全体の30%を占める賞は、施策の効果を客観的に裏付けたい場面で活用できます。

Cannes LionsのStrategy Trackが5年連続で成長しているように、クリエイティブと効果の境界は次第に近づいています。自社の課題に応じて、どちらの軸で評価を受けたいかを明確にすることが、広告賞の種類を絞り込む出発点になります。

国内・海外・アジア別の主要賞一覧

国内では、広告電通賞が約500名の選考委員を擁する日本を代表する総合広告賞です。日本広告業協会(JAAA)が主催する「クリエイター・オブ・ザ・イヤー賞」は、広告会社の優秀なクリエイター個人を表彰する賞であり、2025年にはノミネート25名(17社)からクリエイター・オブ・ザ・イヤー1名とメダリスト9名が選出されました(参照*12)。

海外の総合賞としてはCannes Lionsが26,900件規模のエントリーを集め、効果系ではEffie Awardsが世界各地域で展開しています。デザイン系ではD&AD Awardsが86カ国からエントリーを受け付けています。また、従業員150名以下かつ51%以上が独立資本の代理店を対象としたSmall Agency of the Year(Ad Age主催)のように、組織規模に応じた広告賞の種類も存在します(参照*13)。地域や組織の規模を踏まえて応募先を選ぶことで、適切な評価基準のもとで自社の取り組みを示せます。

応募・活用時の注意点

応募・活用時の注意点

広告賞への応募では、審査員が求める情報を過不足なく伝えることが成果を左右します。Effie Awardsのガイドラインは、審査員が応募カテゴリの市場背景に精通しているとは限らないため、競争環境や市場状況の文脈を明確に提示するよう求めています。文脈の記載が不十分なエントリーは、目標設定や結果の意義を評価できないとして低いスコアを付けられる傾向があると明記されています(参照*9)。

AIの活用に関する開示も見逃せないポイントです。D&AD Awardsでは、すべてのカテゴリにおいてエントリー時にAIの関与を構造的に開示することが求められるようになりました。この開示義務はクリエイティブの制作過程やアウトプットだけでなく、ケースフィルムや補足資料を含む提出物全体に及びます(参照*7)。

広告電通賞のように、取り扱い広告会社や制作会社にかかわらずすべての広告主に応募資格がある賞もあります(参照*1)。応募要件は賞ごとに異なるため、公式の募集要項を事前に確認したうえで準備を進めることが大切です。

おわりに

広告賞の種類は、総合・デザイン・効果・デジタルなど審査軸ごとに分かれており、それぞれが異なる角度から広告の価値を照らしています。自社が伝えたい強みは創造性なのか、ビジネス成果なのか、あるいは技術力なのかを見極めることが、最適な賞を選ぶ第一歩です。

経営の想いを言葉にし、「内から外へ」発信していくプロセスにおいて、広告賞は社会とのつながりをつくる一つの手段になります。各賞の公式情報を確認しながら、自社の取り組みにふさわしい舞台を探してみてください。

お知らせ

広告賞・種類を踏まえ、受賞や評価に左右されない本質的な言語化で、企業の想いを社会に伝える道筋を描きます。コピーライティングを軸に広告・広報・ネーミングや研修を組み合わせ、コミュニケーション開発を支援します。

株式会社ユー&ミーは、経営者・起業家・担当者が持つ想いの言語化「インナー・コピーライティング」を通じて、社会との新しいつながりを生みだします。事業会社からベンチャー企業・スタートアップまで、BtoCからBtoBまで、幅広い企業やサービスのコミュニケーション開発に携わってきました。

コピーライティングを軸として、広告・広報・PR・ネーミング開発・書籍プロデュースなどの手段を組み合わせたコミュニケーション戦略の策定を得意としています。コピーライティングに関する業務に加えて、講演や研修、メディア取材の問い合わせも、お気軽にご連絡ください。

監修者

梅田悟司(うめださとし)

コピーライター/ワークワンダース株式会社 取締役CPO
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員教授
博士(学術)東京科学大学 環境・社会理工学院 博士後期課程修了

1979年生まれ。電通、ベンチャーキャピタルでのスタートアップ支援を経て現職。企業の根幹となるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定、コーポレート・メッセージ構築の第一人者として、経営層の思考の言語化を得意とする。

ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション統括などを担当。核融合スタートアップ「Helical Fusion」をはじめ、次世代スタートアップ企業のブランド戦略の立案に従事する。

武蔵野大学では、日本初となるアントレプレナーシップ学部の立ち上げにおいて、教員としても着任する傍ら、コピーライティングを中心としたコミュニケーション・ブランディングに携わっている。

CM総合研究所が選ぶコピーライターラインキング・トップ10に5年連続選出。カンヌ広告賞、レッドドット賞、ギャラクシー賞、グッドデザイン賞、観光庁長官表彰など国内外30以上の賞を受ける。

著書に、シリーズ累計35万部を超える『「言葉にできる」は武器になる。』『きみの人生に作戦名を。』(日本経済新聞出版社)などがある。4ヶ月半におよぶ育児休暇を取得し、その経験を踏まえた『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(サンマーク出版)を執筆。100を超えるメディアで取り上げられ、大きな話題となる。

参照

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