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Spikes Asia 2025受賞作品まとめ|グランプリ・日本勢・国別傾向から読むAPAC広告トレンド

Spikes Asia 2025受賞作品まとめ|グランプリ・日本勢・国別傾向から読むAPAC広告トレンド

はじめに

Spikes Asiaは、アジア太平洋地域のクリエイティブ力を測る指標として広告業界で広く認知されています。2025年の受賞結果を把握しておかないと、APAC圏の広告潮流や競合他社の取り組みを見落とすことにつながりかねません。

2025年は20市場から2,759件のエントリーが集まり、豪州・インドが各5部門でグランプリを獲得したほか、カザフスタンが初のグランプリ受賞を果たすなど、地域の多様化が進みました。本記事では、グランプリ作品の詳細や国別傾向、日本勢の実績、そしてAPAC広告トレンドまでを順に紹介します。

Spikes Asia 2025の概要

Spikes Asia 2025の概要

開催概要とエントリー規模

Spikes Asiaは、毎年シンガポールで開催されるアジア太平洋地域を対象としたアジア地域最大級の広告コミュニケーションフェスティバルです。2009年から開催されており、ヨーロッパのEurobest、中東のDubai Lynxとともに、カンヌライオンズの地域版フェスティバルとして位置づけられています(参照*1)。

2025年は39回目の開催となり、24カテゴリに対して20市場から合計2,759件のエントリーが寄せられました。そのうち613作品がショートリストに選出され、グランプリをはじめとする各賞を競いました。ショートリスト数では豪州とインドが最多で、日本がそれに続く規模でした(参照*2)。

審査カテゴリと選考プロセス

Spikes Asia 2025では全24カテゴリが設けられ、Audio & Radio、Brand Experience & Activation、Film Craft、Digital Craft、Healthcare、Print & Publishingなど多岐にわたるジャンルで作品が審査されました。各カテゴリでGold、Silver、Bronzeの各賞に加えてグランプリが選ばれる仕組みです(参照*3)。

審査対象はアジア太平洋地域で展開されたブランドコミュニケーション作品で、クリエイティブの独自性だけでなく、ビジネス成果への貢献度も評価基準に含まれます。加えて、非営利団体向けの作品を対象とするGrand Prix for Goodや、年間を通じて優れたマーケティングを実践した広告主に贈られるAdvertiser of the Yearといった特別賞も設定されており、受賞の幅が広い構成になっています。

グランプリ・主要受賞作品

グランプリ・主要受賞作品

全24部門グランプリ一覧

Spikes Asia 2025では、24部門それぞれでグランプリが選出されました。Audio & Radio部門では68件のエントリーからDBの「Cold Call Back Service」がグランプリを獲得し、制作を手がけたのはオークランドのSpecialです。Brand Experience & Activation部門では323件のエントリーの中からSilver Wolf Whiskeyの「The Match That Sells」がグランプリに輝き、バンコクのTBWA THAILAND/Juiceが制作しました(参照*3)。

インドからはCreative Data部門でGatoradeの「Turf Finder」、Design部門でBuckaroo Footwearの「Fit My Feet」、Film Craft部門でJindal Steel and Powerの「The Steel of India」、Healthcare部門でTitan Eye+の「Eye Test Menu」、Print & Publishing部門でThe Times of Indiaの「Ink of Democracy」がそれぞれグランプリを受賞しました(参照*4)。

日本からはDigital Craft部門、Entertainment部門、Grand Prix for Goodの3部門でグランプリが出ています。詳細は日本勢の受賞状況で扱います。

注目キャンペーンの内容

日本マクドナルドのブランドキャンペーン「No Smiles」はTBWA HAKUHODOが手がけた作品です。軍艦島のデジタルアーカイブプロジェクト「HERITAGE DATABANK」と、視覚障害者の目の見え方を可視化するツール「Visiongram」は電通が制作し、いずれも日本からグランプリを獲得しました(参照*5)。

「HERITAGE DATABANK」は文化遺産をデジタル技術で保存する試みであり、「Visiongram」は視覚に障害を持つ人の見え方を第三者が体験できるツールです。ブランドの販売促進だけでなく、社会的な課題に取り組むプロジェクトがグランプリに選ばれた点は、クリエイティブの評価軸を考えるうえで押さえておきたいところです。

特別賞と年間最優秀広告主

Spikes Asia 2025のAdvertiser of the Yearには、Samsung Electronicsが選ばれました。この賞は革新的なマーケティングとクリエイティブな広告制作を通じて際立った成果を上げたブランドに贈られるもので、Samsungの受賞は2017年に続いて2度目です(参照*6)。

特別賞のうちAsia-Pacific Agency of the Yearは、1位がオークランドのCOLENSO BBDO、2位がシンガポールのOGILVY、3位がインド・グルガオンのMcCANNでした。Network of the Yearでは1位がOGILVY、2位がDENTSU、3位がTBWA WORLDWIDEとなり、Media Network of the Yearは1位がESSENCEMEDIACOM、2位がZENITH、3位がMINDSHAREという結果でした(参照*7)。

国別・地域別の受賞傾向

国別・地域別の受賞傾向

豪州・インドが5冠ずつ獲得

Spikes Asia 2025のグランプリ獲得数で首位に並んだのは、豪州とインドの2か国でした。それぞれ5部門でグランプリを手にしており、APAC圏のクリエイティブを牽引する存在であることを改めて示しています(参照*7)。

インドのグランプリ受賞は5作品すべてが異なるカテゴリにまたがっており、Creative Data、Design、Film Craft、Healthcare、Print & Publishingと領域が多岐にわたります。ムンバイ、グルガオン、バンガロール、デリーと制作拠点も複数都市に分散しており、インド国内のクリエイティブ基盤の広がりがうかがえます(参照*4)。

NZ・シンガポール・韓国の存在感

豪州とインドに次ぐグランプリ獲得数を記録したのがニュージーランドで、4部門でグランプリを獲得しました。Agency of the Year 1位のCOLENSO BBDOをはじめ、Audio & Radio部門グランプリを受賞したSpecialもオークランドに拠点を置いており、ニュージーランド勢の競争力が目立つ結果です(参照*7)。

シンガポールはOGILVYがAgency of the Year 2位に入り、Network of the YearでもOGILVYが1位を獲得しました。OGILVY APACは計55賞を受賞し、そのうちグランプリ3件、Gold 4件、Silver 16件という内訳で、12市場にわたるチームの成果が評価されています(参照*8)。韓国についてはSamsung ElectronicsがAdvertiser of the Yearを受賞しており、広告主としてのプレゼンスを発揮しました。

カザフスタン初受賞の意義

Spikes Asia 2025で歴史的な出来事として取り上げられたのが、カザフスタンのグランプリ初受賞です。同国からは2つの異なるエージェンシーがそれぞれグランプリを獲得しており、1か国から一度に2つのグランプリが生まれたことは大きな成果といえます(参照*3)。

この受賞は中央アジアから台頭するクリエイティブ力に光を当てるものとして位置づけられています(参照*9)。

日本勢の受賞状況

日本勢の受賞状況

電通のグランプリ2作品

電通はSpikes Asia 2025で合計12賞を獲得しました。内訳はグランプリ2件、Gold 1件、Silver 1件、Bronze 8件です。グランプリを受賞したのはDigital Craft部門の「HERITAGE DATABANK」と、非営利団体向け作品を対象とするGrand Prix for Goodの「Visiongram」の2作品でした(参照*10)。

さらに電通は「Agency of the Year by Market-Japan」にも選出されています。「HERITAGE DATABANK」は軍艦島のデジタルアーカイブ、「Visiongram」は視覚障害者の見え方を可視化するツールであり、いずれもデジタル技術を社会的な価値につなげたプロジェクトとして評価されました。日本市場を代表するエージェンシーとして、技術と社会課題の接点を形にした成果です。

TBWA HAKUHODOと博報堂グループ

博報堂グループはSpikes Asia 2025で合計11賞を獲得しました。グランプリ1件、Gold 1件、Bronze 9件という内訳です(参照*11)。

グランプリを獲得したのは、TBWA HAKUHODOが制作した日本マクドナルドのブランドキャンペーン「No Smiles」です。TBWA WORLDWIDEもNetwork of the Year 3位に入っており、グローバルネットワークとしての存在感を示しました。日本の広告会社として電通に加え、博報堂グループもグランプリを手にしたことで、日本勢全体のプレゼンスが高まる結果となっています。

制作会社・その他日本関連の受賞

広告会社だけでなく、日本の制作会社もSpikes Asia 2025で成果を上げています。AOI Pro.グループはSilver 2件、Bronze 2件、ショートリスト5件を獲得しました。さらにAOI Pro.はFilm、Film Craft、Digital Craft、Entertainmentなど特定カテゴリの総受賞数で高い評価を得るSpikes Palm Awardで2位に選ばれています(参照*12)。

ギークピクチュアズは制作に携わった「FRIES BEAT 2024」と「SMALL MOMENTS, BIG FOR THE HEART.」の2作品でBronzeを獲得しました(参照*1)。エージェンシーだけでなくプロダクション領域でも複数の日本企業が受賞していることは、制作力の厚みを示しています。

APAC広告トレンドの読み解き

APAC広告トレンドの読み解き

社会課題起点のクリエイティブ

Spikes Asia 2025の受賞作品には、社会課題を出発点にしたクリエイティブが数多く見られます。日本の「Visiongram」は視覚障害というテーマを扱い、インドの「Ink of Democracy」は民主主義に関連する取り組み、「Fit My Feet」は靴のフィット問題を通じた課題解決型のデザインでした。

「受賞キャンペーンは、大胆でインサイトに基づくアイデアがいかに具体的なビジネス成果を生み出せるかを示している」とコメントされており、単なる話題性ではなく、ビジネス成果も含めて評価されたことがわかります(参照*3)。こうした傾向は、企業が自社の経営メッセージと社会とのつながりをどう設計するかという問いに直結するものです。

テクノロジー×ストーリーテリング

Advertiser of the YearのSamsung Electronicsは、先端技術と力強いストーリーテリングの交差点を一貫して再定義してきたブランドとして紹介されています。同社のキャンペーンは、独自性のある没入的な体験を実現し、より深いレベルで人々の心を動かし続けているとされています(参照*13)。

電通の「HERITAGE DATABANK」がDigital Craft部門でグランプリを得たことも、テクノロジーを物語の推進力として活用した好例です。技術そのものの新規性だけでなく、技術を通じてどのような体験や意味を届けるかが受賞のカギになっています。経営者や担当者の想いを起点に、テクノロジーと物語を結びつける視点は、今後のコミュニケーション立案においても有効な手がかりとなります。

おわりに

Spikes Asia 2025は、豪州・インドの5冠やカザフスタンの初受賞、日本勢のグランプリ3作品など、APAC圏のクリエイティブ地図が広がりを見せた年でした。社会課題を出発点にした企画と、テクノロジーを物語に変換する手法が高い評価を受けた点は、今後の広告コミュニケーションを考えるうえでの重要な手がかりです。

2026年のSpikes Asiaでは、こうした潮流がさらに進むのか、あるいは新しいテーマが台頭するのかに注目が集まります。自社の経営メッセージや想いをどのようにクリエイティブへ落とし込むか、今回の受賞事例を手がかりに検討を進めることが可能になります。

お知らせ

Spikes Asia 2025の事例や登壇トレンドを受け、魅力的なブランド語りと共感創出のために、想いの言語化を軸にしたコミュニケーション戦略設計が重要です。

株式会社ユー&ミーは、経営者・起業家・担当者が持つ想いの言語化「インナー・コピーライティング」を通じて、社会との新しいつながりを生みだします。事業会社からベンチャー企業・スタートアップまで、BtoCからBtoBまで、幅広い企業やサービスのコミュニケーション開発に携わってきました。

コピーライティングを軸として、広告・広報・PR・ネーミング開発・書籍プロデュースなどの手段を組み合わせたコミュニケーション戦略の策定を得意としています。コピーライティングに関する業務に加えて、講演や研修、メディア取材の問い合わせも、お気軽にご連絡ください。

監修者

梅田悟司(うめださとし)

コピーライター/ワークワンダース株式会社 取締役CPO
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員教授
博士(学術)東京科学大学 環境・社会理工学院 博士後期課程修了

1979年生まれ。電通、ベンチャーキャピタルでのスタートアップ支援を経て現職。企業の根幹となるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定、コーポレート・メッセージ構築の第一人者として、経営層の思考の言語化を得意とする。

ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション統括などを担当。核融合スタートアップ「Helical Fusion」をはじめ、次世代スタートアップ企業のブランド戦略の立案に従事する。

武蔵野大学では、日本初となるアントレプレナーシップ学部の立ち上げにおいて、教員としても着任する傍ら、コピーライティングを中心としたコミュニケーション・ブランディングに携わっている。

CM総合研究所が選ぶコピーライターラインキング・トップ10に5年連続選出。カンヌ広告賞、レッドドット賞、ギャラクシー賞、グッドデザイン賞、観光庁長官表彰など国内外30以上の賞を受ける。

著書に、シリーズ累計35万部を超える『「言葉にできる」は武器になる。』『きみの人生に作戦名を。』(日本経済新聞出版社)などがある。4ヶ月半におよぶ育児休暇を取得し、その経験を踏まえた『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(サンマーク出版)を執筆。100を超えるメディアで取り上げられ、大きな話題となる。

参照

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