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The One Show 2025受賞作品まとめ|広告・デザイン・デジタルの注目作とトレンド

The One Show 2025受賞作品まとめ|広告・デザイン・デジタルの注目作とトレンド

はじめに

広告やデザインの分野で世界的に評価される作品は、そのまま業界の表現トレンドを映し出します。The One Showは50年超の歴史を持つ国際賞であり、2025年も62か国から約2万点のエントリーが集まりました。受賞作やトレンドを知らないまま企画に臨むと、表現の方向性やクライアントへの提案で視座が不足しかねません。

2025年の受賞作にはAI活用やクリエイター共創といった新しい潮流が色濃く反映されています。本記事ではThe One Show 2025の受賞作品を領域別に整理し、審査体制や新設カテゴリ、公式Insights Reportが示す6つのトレンド、そしてカンヌやD&ADとの違いまでを順を追って取り上げます。

The One Show 2025の概要

The One Show 2025の概要

50年超の歴史と審査体制

The One Showは、広告・デザイン領域における世界有数のクリエイティブ賞です。50年以上にわたって続いてきたこの賞では、受賞の証として「Pencil」が授与されます。頂点に位置するのがCrystal Pencilで、Best of Discipline(部門最高賞)の受賞者だけに贈られる栄誉です(参照*1)。

審査は300名を超える世界各国のクリエイティブリーダーによるピアレビュー、つまり同業のプロ同士が評価し合う形式で行われます。プリントやフィルムといった伝統的なフォーマットから、ゲーミングやAI活用、そして新設されたCreator Content部門まで、クリエイティビティの全領域をカバーする点が特徴です(参照*1)。

審査の厳格さは公式サイトでも強調されており、「Winning here is hard. That’s why it matters.」という言葉が掲げられています。誠実さ、大胆な思考、そして業界最高水準のクリエイティブを体現する賞として位置づけられており、受賞の難しさそのものが価値の裏付けになっています。

2025年のエントリー規模

2025年のThe One Showには、62か国から24部門にわたり約2万点の作品がエントリーされました。この規模のデータをもとに作成された公式のInsights Reportは85ページに及び、すべてのJury President(審査委員長)と数百名の審査員による専門的な見解を掲載しています(参照*2)。

ファイナリストは2025年4月に発表され、Gold・Silver・Bronze Pencilおよび Merit の各受賞者は、5月12日から16日にニューヨークで開催されたCreative Week 2025の期間中に発表されました(参照*3)。

62か国という出品国の幅広さは、The One Showが特定の地域に偏らないグローバルな評価基準を持っていることの表れです。24部門という多面的な審査カテゴリと約2万点のエントリー数は、いまのクリエイティブ産業がどの表現領域に力を注いでいるのかを読み解く手がかりになります。

Best of Discipline全受賞作

Best of Discipline全受賞作

広告・ブランド体験領域の受賞作

The One Show 2025のBest of Disciplineでは、広告・ブランド体験に関わる複数の部門で受賞作が選ばれました。Branded Entertainment部門ではFCB New Yorkが手がけたSpotifyの「Spreadbeats」が最高賞を獲得しています。Creative Effectiveness部門では、Ogilvy PR New YorkによるCeraVeの「Michael CeraVe」が受賞しました(参照*4)。

「Spreadbeats」はデータ活用の部門であるCreative Use of Data部門でもBest of Disciplineに選ばれており、同一作品が2部門で頂点に立った形です。Cultural Driver部門ではLePub MilanとPublicis Dublinが共同で制作したHeinekenの「Pub Museums」が受賞しています(参照*4)。

これらの受賞作に共通するのは、ブランドが一方的にメッセージを発信するのではなく、音楽体験やポップカルチャー、地域の文化資産といった文脈を巧みに取り込んでいる点です。広告の枠を超えた体験設計が、2025年の審査で高く評価されたことがうかがえます。

デザイン・テクノロジー領域の受賞作

デザイン部門のBest of Discipline Pencilは、電通(Dentsu Inc.、東京)が獲得しました。電通はThe One Show 2025でDesign部門の最高賞に加え、Gold 1点とBronze 2点の合計4賞を受賞しています(参照*5)。

電通は2025年、AdFest、Spikes Asia、MAD Starsといったアジア圏の賞に加え、カンヌライオンズやThe One Show、D&AD、LIA、New York Festivalsでも受賞を重ねました。主な受賞キャンペーンとしてはJR GROUPの「My Japan Railway」、北國新聞の「Move Forward」、ニッカウヰスキーの「No Labels」、「VISIONGRAM」などが挙がっています(参照*6)。

Creative Use of Technology部門では、FCB New YorkがAB InBev傘下のMichelob ULTRAのために制作した「Lap of Legends」がBest of Disciplineを受賞しました(参照*4)。テクノロジーを手段として活用しながら、ブランド独自のストーリーをどう構築するかが評価軸として鮮明になっています。

ソーシャル・PR・ヘルス領域の受賞作

ソーシャルやPR領域でもThe One Show 2025の受賞作はブランドと生活者の関係を再定義するような企画が並びました。Creative Effectiveness部門で最高賞を受けたCeraVeの「Michael CeraVe」は、PRやソーシャルの文脈でも注目を集めた事例です(参照*4)。

The One Showの審査カテゴリは、プリントやフィルムのような伝統領域だけでなく、ゲーミング、Creative Use of AI、そして新設のCreator Contentといった先端領域にまで広がっています(参照*1)。こうした部門構成の広がりは、ソーシャルメディアやクリエイターエコノミーがいまの広告コミュニケーションにおいて欠かせない存在になっていることを反映しています。

PRやソーシャル領域の作品は、単にリーチやインプレッションの大きさではなく、文化的なインパクトとビジネス成果の両面が求められます。The One Show 2025で受賞した作品群を見ると、話題化の仕掛けとブランドの本質的な価値がどこで接続しているかを検討する視点が、今後の企画立案においても欠かせません。

特別賞と新設AIカテゴリ

特別賞と新設AIカテゴリ

CMO・Penta・Fusion・Green Pencil

The One Show 2025のCMO Pencilは、KPNのVP Brand, MarCom & SponsorshipsであるDave Frauenfelderに授与されました。受賞対象となったのは「A Piece of Me」というキャンペーンで、ブランドのビジネスに対して最もインパクトを与えたマーケターをたたえる賞です(参照*4)。

このCMO Pencilは2025年に審査方式が刷新されました。従来はBest of DisciplineやGold Pencilの上位エントリーから選出されていましたが、初めて専用カテゴリとして業界に開放され、エージェンシーがクライアントパートナーの貢献を直接ノミネートできる仕組みに変わっています(参照*3)。

Penta Pencilは、エージェンシーとブランドが5年間にわたって優れたクリエイティブを共に生み出してきた実績を評価する賞です。2025年はFCB New YorkとAB InBev傘下のMichelob ULTRAの組み合わせが選ばれました(参照*4)。単発のキャンペーンではなく、長期的なパートナーシップから生まれるクリエイティブの積み重ねが評価される点は、企業とエージェンシーの関係構築を考えるうえで示唆に富んでいます。

Creative Use of AI部門の新設背景

The One Show 2025では、人工知能活用(Creative Use of Artificial Intelligence)部門が新たな独立部門として設けられました。この部門は、人間のクリエイティビティとAI技術の協働を称えることを目的としており、Branded Campaigns and Experiences、Craft、Innovationの3つの領域で作品を募集しています(参照*7)。

The One Clubの最高経営責任者であるKevin Swanepoelは、「業界はAIの可能性のほんの表面をなぞったに過ぎないが、すでに力強い活用事例が生まれている」と述べています。そのうえで、The One Showは優れた実績の表彰と可能性の奨励の最前線に立つことを目指し、AIの活用を推進する先駆者を祝福していく姿勢を示しました(参照*7)。

AI部門の新設は、テクノロジーの進化を賞の構造に組み込むというThe One Showの姿勢を象徴しています。単なるツール利用ではなく、人間のアイデアとAIが掛け合わさることで何が生まれるのかを評価する枠組みが、2025年に正式に整えられた形です。

Insights Reportが示す6大トレンド

Insights Reportが示す6大トレンド

The One Show 2025の公式Insights Reportは、約2万点のエントリーと審査員の知見を統合し、6つの主要トレンドを提示しました。1つ目の「Imperfectly Human」は、ブランドが完璧さを手放し、あえて不完全な人間らしさを見せることで親しみやすさと長期的なつながりを生み出す潮流です。2つ目の「Smart Product Hacks」は、日常的な商品をルールを曲げるような手法で再解釈し、注目を集めるプロダクトマーケティングの復権を指しています(参照*2)。

3つ目の「Augmented Spaces」は、仮想現実の力を借りてバーチャル空間に人々を集め、共有体験を生み出すアプローチです。4つ目の「In-House Collabs」は、企業のインハウスチームがアーティストやミュージシャン、デザイナーと協働してオリジナルコンテンツを制作し、文化的な共鳴を生む動きを捉えています。5つ目の「The Creator-Scape」は、クリエイターの影響力を活用してブランドの信頼を築く手法で、受賞作の多くがインタラクティブかつシェアされやすい設計になっていた点が特徴です(参照*2)。

6つ目の「Community-First Creativity」は、ブランドがコミュニティと共にキャンペーンやオリジナルIPを共創する動きです。同時に、AI駆動のテクノロジーがオーディエンス自身のクリエイションを後押しする環境が整いつつあります。これら6つのトレンドは、いずれも「ブランドが一方的に語る」モデルから「人々と共に作り、共に広がる」モデルへの移行を示唆しており、コミュニケーションの起点を内側に据える姿勢がクリエイティブの評価軸としても明確になってきています。

カンヌ・D&ADとの違い

カンヌ・D&ADとの違い

広告・デザインの国際賞はThe One Showだけではありません。カンヌライオンズ、D&AD、Clio、LIA、New York Festivalsなど複数の賞が存在し、クリエイティブのランキング集計においてもこれらの主要賞は並列で扱われます(参照*8)。それぞれの賞には審査基準や運営方針に違いがあり、受賞歴をどう読み解くかは広告業界で働くうえでの基本的なリテラシーになっています。

The One Showが強調するのは、誠実さ、大胆な発想、そして業界最高水準のクリエイティブという3つの柱です。公式サイトでは「Winning here is hard. That’s why it matters.」と明記されており、受賞のハードルの高さ自体を価値として打ち出しています(参照*1)。300名以上のクリエイティブリーダーによるピアレビューという審査形式は、マーケティング効果や事業成果を重視するカンヌライオンズのEffectiveness部門や、クラフト(技術的な仕上がり)への評価が厳しいことで知られるD&ADとは異なる観点を提供します。

複数の国際賞にまたがって受賞を重ねる作品やクリエイターも少なくありません。The One Showの特徴を理解することで、自社やクライアントの作品がどの賞のどの部門に最もフィットするかを見極める判断材料になります。

おわりに

The One Show 2025は、AI活用部門の新設やクリエイター共創の評価など、クリエイティブの定義そのものが広がっていることを示す年となりました。受賞作に通底する「内側から外へ」という姿勢は、ブランドの想いを言語化し、社会との新しい接点を生み出すコミュニケーションの本質と重なります。

2026年にはThe One Show Indiesという独立系エージェンシー向けの新たなコンペティションが始まり、規模ではなくアイデアの力で評価される場がさらに広がります。授賞式は2026年5月15日、ニューヨークでのCreative Week期間中に行われる予定です(参照*1)。全27部門で構成されるThe One Show 2026の動向にも、引き続き注目していきたいところです。

お知らせ

The One Show 2025で示される表現力は、コピーライティングやインナー・コピーライティングで想いを言語化し、経営者や起業家と共に事業と社会の新しいコミュニケーション設計へとつなげます。
株式会社ユー&ミーは、経営者・起業家・担当者が持つ想いの言語化「インナー・コピーライティング」を通じて、社会との新しいつながりを生みだします。事業会社からベンチャー企業・スタートアップまで、BtoCからBtoBまで、幅広い企業やサービスのコミュニケーション開発に携わってきました。

コピーライティングを軸として、広告・広報・PR・ネーミング開発・書籍プロデュースなどの手段を組み合わせたコミュニケーション戦略の策定を得意としています。コピーライティングに関する業務に加えて、講演や研修、メディア取材の問い合わせも、お気軽にご連絡ください。

監修者

梅田悟司(うめださとし)

コピーライター/ワークワンダース株式会社 取締役CPO
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員教授
博士(学術)東京科学大学 環境・社会理工学院 博士後期課程修了

1979年生まれ。電通、ベンチャーキャピタルでのスタートアップ支援を経て現職。企業の根幹となるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定、コーポレート・メッセージ構築の第一人者として、経営層の思考の言語化を得意とする。

ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション統括などを担当。核融合スタートアップ「Helical Fusion」をはじめ、次世代スタートアップ企業のブランド戦略の立案に従事する。

武蔵野大学では、日本初となるアントレプレナーシップ学部の立ち上げにおいて、教員としても着任する傍ら、コピーライティングを中心としたコミュニケーション・ブランディングに携わっている。

CM総合研究所が選ぶコピーライターラインキング・トップ10に5年連続選出。カンヌ広告賞、レッドドット賞、ギャラクシー賞、グッドデザイン賞、観光庁長官表彰など国内外30以上の賞を受ける。

著書に、シリーズ累計35万部を超える『「言葉にできる」は武器になる。』『きみの人生に作戦名を。』(日本経済新聞出版社)などがある。4ヶ月半におよぶ育児休暇を取得し、その経験を踏まえた『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(サンマーク出版)を執筆。100を超えるメディアで取り上げられ、大きな話題となる。

参照

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